Message from T.Kobayashi

代表メッセージ

株式会社スターエムは2023年、おかげさまで創立100周年を迎えました。 兵庫県三木市の地に棒通錐工場として1923年(大正12年)10月1日に小林元二が独立創業して以来、たくさんの方に支えていただき今日まで歩んでまいりました。 100周年という大きな節目を迎えることができましたのは、スターエムの製品を手に取りご愛顧いただいた方々、事業活動を支援くださった関係者のみなさま、そして幾多の挑戦を重ね、技術と伝統を作りつないできた諸先輩方と現従業員のおかげであり、心より感謝申し上げます。
この大きな節目を5代目社長として迎えるにあたり歴代の社長のことに少し触れてみたいと思います。

日本に造船用として明治時代に入ってきた木工ドリルは、紀元前より北欧のバイキングの船の造船などに使われていたドリルの原型がヨーロッパでラセン型に進化したものです。 『ねじる・回す』という意味のギムレットが語源でギムネという呼び名が広まりました。 創業者の小林元二氏は10代に鑿製造の経験もしていましたが、これからは丸孔のボート(ギムネ)の時代がやってくると見込み、それをいち早く取入れ製造に着手しました。当時は鉄を赤く焼いて叩いて伸ばすという鍛造で作っていましたが、その後戦後初めて機械で木工ドリルを作り量産化させたと聞いています。法人 小林ギムネ製作所として小林ギムネを発明、ロゴマークが世界を目指す想いを表す星・スターに、元二のイニシャルのMを合わせたホシエム印の時代をご記憶の方もいらっしゃるかと思います。 元二氏は大正モダンボーイであったようで木工業界への貢献も大きく、神戸市の生田神社に建立された「郷土の発明功労者の記念塔」にその名が刻まれています。

2代目の恒美氏は夜間運転ができる工場に発展させ、早くから販売にも力を入れました。時代の流れと共にラセン型の従来の木工ドリルにとらわれない新しい製品を次々と開発していきました。この頃から弊社では商品ではなく自分たちがつくったという想いを再認識するためにも「製品」と呼ぶように決めました。 貿易開拓にも力を入れました。「三木金物の夢を乗せて」アメリカ、ヨーロッパへと販路を広げていきました。現在は世界30ヶ国のお客様へ製品をお届けしています。

3代目の寛(ゆたか)氏は私の主人です。常々「びっくりするようなスピードで穴をあけたい」「技術を生かして新しい事業へ取組みたい」など広い視野でスターエムの可能性を探求していました。木工房や実演車の導入、カタログやパッケージデザインの内製化、webサイト作成など時代の流れをいち早く取入れようとしていました。今にして思えば少し早すぎたかもしれません。木工ドリルが本当に好きで、自身で木工ドリルを持って海外も飛び回っていました。この時代にできた竹用ドリルには穴をあけた時の職人さんの何とも言えないあの笑顔をみたいという想いが込められていました。現在、DIYからプロ職人さんまで幅広くご愛用いただけるようになった竹用ドリルは多くの方をあの笑顔にしてくれている、3代目の想いが生きていると思っています。

4代目の康雄氏の在任期間は短く、志半ばであったのではないかと思います。 会話の中では「チーム・スターエム」という言葉をよく用いていました。これからどのような時代が訪れるのか、未来がどのようになっていくのかはわからないけれど、どんな逆境が訪れようともチーム一丸となって乗り切っていく姿を思い描いていたのではないかと想像します。

そして、私が5代目となります。 ご期待にお応えできる製品を確実にお届けできるよう工場の増設やグループ会社の統一、社屋の移転など時代に合わせ変化を重ね、現在のスターエムの形となりました。 その中で変わらないものとして、最高の製品を作ること、地域社会へ貢献し、従業員や関わる人々の幸せを願うという信念があります。
昨年、特別チームを結成し、地域とのつながりや環境保全、働きやすい職場にするためのルール作りなど、世界的に挙がっている「全ての人の未来」へ向けての課題への取組みを始めました。 社会の一員として今するべきこと、長い時間をかけて検討していくことをまとめ、従業員ひとりひとりと考え、行動し、カタチにしていきます。 私たちが培ってきた技術を活用し、みなさまの日常にお役に立てること、生活に彩りを添えるお手伝いができることがまだまだあるはずです。 私が預かっているこの時代、これからも信念を曲げることなく、様々なご意見を伺いながら努力を続けてまいります。

創業以来私たちは木工ドリルメーカーとしてギムネ作りへの揺るぎない想いを絶やすことなく、ドリルをお使いいただいた時の手に伝わる感触が心地良いものに、木屑の排出をスムーズにスピーディーな穴あけができるような製品をお届けできるよう努めてまいりました。 3代目はもっと多くの方に穴あけの手にくる感触を楽しんでいただきたい。そしてさらにドリルから幅の広がった製品作りに力を注ぎ、スターエムはもっと伸びていくのだ。 そう考えるだけでワクワクしながら100周年まで走れそうだと話していました。 私たちはここまでワクワクしながら走ってこられたでしょうか。

「100 years and counting」
100周年に際し、この言葉をロゴに入れています。

ここまでの道のりをかみしめながら、立ち止まることなくこれからも進んでいく、走り続けていく。踏み出す一歩は、大きな時もわずかな時もあるけれども、歩みを止めることなく前に進み続ければ、どんなに小さな一歩でも歩みを重ねていけば遠くの目標までたどり着くことができる。 そういう「一歩踏み出す」私たちの考え方を表現しています。 これからも豊かで便利な暮らしへの貢献のため、地域と環境を大切に、正直なモノづくりに邁進してまいります。 100年の歴史を支えていただいたみなさまに、改めて感謝の意を表しますと共に、引き続き多大なるご支援、ご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

代表取締役社長 小林富記子

想いを伝える

どこにいてもオンラインで繋がることができる便利な世の中になりました。しかし、人の持つ熱量というのはやはり実際に会った方がより感じられます。対話することから生まれるものの面白さ、大切さを私たちは改めて知ることとなりました。思っているだけでは伝わらない。想いは言葉にしてはじめて伝わるのです。
ありがとうございます そして これからもよろしくお願いします